大栗紙工株式会社 |SDGs Each Together|SDGsへの取り組みを“個々から互いのものに”できたらいいな!をコンセプトに、SDGsを経営に活かす企業を支援するものです。

これが我が社のSDGs

お知らせ
 

使いごこちいいノートで
すべての人の「学びたい」に応える

大栗紙工株式会社

2021年11月11日

大栗紙工株式会社
勉強や仕事、さらに日記などで欠かせないノートは、私たちの成長を支えてくれるツールです。しかし、そのノートが発達障がいのある方の勉強や仕事の妨げになっていることをご存知でしょうか。「白い紙に光が反射して眩しく、文字が書けない」「いつの間にか書いている行が変わってしまい、見づらくなる…」「上部にある日付記入欄が気になって集中できない」など、勉強や仕事を助けてくれるノートが、逆にそれらを困難にし、多くの方が不便を感じています。勉強嫌いではなく、勉強したい気持ちがあるのに、ノートが原因で集中できない。それが積み重なり、授業に遅れてしまう子どももいます。さらに好きだった勉強が嫌いになってしまう方もいます。
そんな問題を解決しようと、発達障がいのある方々でも心地よく使えるノートを開発したのが、大栗紙工です。創業90年、ノートメーカーとして55年を誇る老舗ですが、大手メーカーの委託生産が中心だったため、オリジナルのノート開発はゼロからのスタート。発達障がいのある方々と何度もコミュニケーションを重ね、数々の試行錯誤を経て、誰にとっても使い心地のよいノート「mahora(まほら)」が生まれました。また、「mahora(まほら)」の開発をきっかけに、発達障がいのある方々をはじめとするエンドユーザーとの距離が縮まったことで、ユーザーに寄り添い、ユーザーの悩みや困りごとに応えるモノをつくっていこうという「モノづくりの姿勢」が大きく変わっていきました。
  • 質の高い教育をみんなに
  • つくる責任 つかう責任
  • 気候変動に具体的な対策を
  • パートナーシップで目標を達成しよう
  • 発達障がい当事者100名の声を<br>カタチにしたノート

    書きやすくて、見やすくて、丈夫で、目にやさしい。誰もがここちよく使えるシンプルなノート

    発達障がい当事者100名の声を
    カタチにしたノート

    「mahora(まほら)」の特徴は、一目瞭然です。色付き紙が使われ、定番の白い紙は使用されていません。また、ノートを開くと、通常のノートにある罫線とは異なります。ひとつは、太い罫線と細い罫線が交互に入っている「太・細交互横罫」、もうひとつはあみかけの帯がある部分とない部分が交互になっている「あみかけ横罫」の2種類。
    さらに、ノートの左上や右上によくある日付やナンバー、題字などを記入できる欄はなく、罫線以外のものは何もないシンプルなつくりになっています。
    実は、この形ひとつひとつに10代から50代までの発達障がいのある方々、約100名の意見が詰まっています。

    「開発のきっかけは、あるセミナーで発達障がいのある方々を支援されている『一般社団法人UnBalance(アンバランス)』様と知り合い、ノートの使いづらさをお聞きしたことです。でも、実際にどう使いづらいのかがわからないため、アンバランス様にご紹介いただきながら、当事者の方々の声を聞くことから始めました」と取締役の大栗佑介さん

    その声ひとつひとつにじっくり耳を傾けるなかで、使いづらさの主な原因となっていたのは、「白い紙が光を反射して眩しい」「罫線が薄いと、書いているうちに行が歪んだり、別の行に変わったりする」「日付入力欄など罫線以外の情報が気になる」という3つでした。ただ、原因がわかっても、その解決策がすぐに見つかるわけでもありません。解決に導くアイデアを出し、当事者の方々の意見を聞き、それをもとにサンプルをつくり、再び当事者の方々の声をもらい、改良を重ねていくという地道な作業の連続。たとえば、光の反射を抑えることに対して、色付き紙というアイデアが思いつくも、何色がいいのかは実際使っていただかないとわかりません。13色の試作を用意し、そこから色を絞っていったといいます。

  • 商品のバリエーションが増えるほど、<br>学びたいの気持ちに応えられる

    商品のバリエーションを増やすことで、自分にぴったりのノートが見つかり、勉強に集中できる方が増えていきました

    商品のバリエーションが増えるほど、
    学びたいの気持ちに応えられる

    この試行錯誤の結果、まず完成したのが、レモン色の「太・細交互横罫」と、ラベンダー色の「あみかけ横罫」の2種類でした。
    「初めて完成品をお見せしたとき、まさか自分たちの意見が反映されたノートができるとは思ってもみなかったと感動していただき、本当にうれしかったです。それと同時に、2種類のノートだけでは、発達障がいのある方々すべての問題解決にならないことを実感しました」と大栗佑介さん。
    そこから商品のバリエーションがぐっと広がっていきます。
    罫線の種類ごとにカラーバリエーションを用意したほか、就労支援などの場面では携帯しやすいサイズが好まれることから、B5のほかにB6・B7・A6サイズのノートも開発。また、ノート綴りではなく1枚用紙として使用したいという声もあり、レポート用紙のように使えるシートも開発しました。
    「一人ひとり気になることや好みもさまざまです。たとえば、レモン色は大丈夫でも、ラベンダー色はダメな方もいます。発達障がいのある方々の学びたいという気持ちに応えるために、そうしたすべてのニーズにかなったノートをつくりたいという強い思いがありました」と代表取締役の大栗康英さん。

    その思いは多くの利用者に届きます。バリエーションが増えるごとに、自分にぴったりのノートが見つかり、「これなら集中できる」「勉強しやすい」という声が続々と返ってくるように。高校までノートが使えず勉強に集中できなった方が「mahora(まほら)」なら集中でき、目標である美容師をめざして国家試験の勉強に取り組めるようになった。「今まで喜んで勉強することがなかった子どもが笑顔になってくれた」など、利用者の声がそのまま大栗紙工の社員一人ひとりへの感謝として届くようになりました。

    「今まで委託生産が中心だったので、お客様の声が直接私たちに届くことはありませんでした。『mahora(まほら)』は、お客様と共につくるものであり、お客様の声がそのまま私たちに届きます。それは、モノづくりの一番の喜びであるともに、“誰のためのモノづくりなのか”ということをあらためて考えるきっかけになりました」と大栗康英さん。

社会などへの影響

■発達障がいのある方が心地よく使えるノートで、勉強や仕事を支援
■高齢者や脳疾患のある方にも、使いやすく、見やすいノートの活用で、豊かな生活を
■誰もが自分らしく成長できるようなきっかけを提供

社会などへの影響

mahoraノートは、「第30回日本文具大賞」でデザイン部門優秀賞を受賞。また、環境やCSRをテーマにした日本初のビジネス情報誌「オルタナ」が選ぶ【サステナブルセレクション2021】で”二つ星”を獲得。さらに、「GOOD DESIGN AWARD 2021 BEST 100」にも選ばれました

「mahora(まほら)」が少しずつ認知されるようになるにつれ、取り扱い店舗が増え、現在は全国300店舗で販売されています。そうした中で、発達障がいのある方々以外の方の目にも止まるようなっていきました。
ある展示会に出展した際には、高齢者の方から「普通のノートは目が疲れやすいけど、『mahora(まほら)』は見やすくて疲れない。1行の幅が広いので、大きな文字を書けるのもいいですね」と気に入っていただけたと言います。

「ご主人が脳梗塞を患い、リハビリに取り組んでいらっしゃる奥さんが買いに来られたこともありました。リハビリで文字を書く練習をされていたのですが、普通のノートではうまく書けないと困っておられました。それが「mahora(まほら)」のあみかけ横罫をご利用いただいたところ、とても書きやすく、リハビリに励むことができると喜んでいただけたんです」と大栗佑介さん。

同様に、脳疾患で利き手が使えなくなった方が、反対の手で文字を書く練習をされるときに、「mahora(まほら)」のあみかけ横罫なら書きやすくて、リハビリが継続できるという声もありました。

また、「mahora(まほら)」は通常のノート紙より10%ほど厚いので、破れにくく丈夫です。子どもたちが力強くノートに文字や絵を書いても破れることがなく、消しゴムを勢いよくこすってもしわになることがありません、すべての子どもたちがストレスなく自由にノートを使い、学ぶことができることも、「mahora(まほら)」の特徴です。

「何かを学びたい」「自分の気持ちを書きたい」そんな思いがあっても、さまざまな理由でできない方がいらっしゃいます。なかには、文具ツールがそれを阻んでしまい困っている方や、自分にあった文具ツールがないという方も。「mahora(まほら)」はそんな方にも学ぶことや、成長していくことを切り拓いてくれるノートです。「mahora(まほら)」とは、「住みごこちのいいところ」を意味する、やまと言葉。誰にとっても「使いごこちのよさ」があるノートのかたちを追究することで、誰もが自分らしく成長できるきっかけを提供し、SDGsのスローガンでもある「誰ひとり取り残さない」社会の実現をめざしています。

  • お客様と社会に寄り添い、<br>「いいもの」をつくっていく

    備蓄米の米粉を含有した紙でつくったノート。資源をめぐらし、環境への負荷軽減をめざします

    お客様と社会に寄り添い、
    「いいもの」をつくっていく

    大栗紙工では今、新たな商品プランも計画中です。そのひとつが「mahora(まほら)」ノートの表紙にイラストを施した新商品です。このノートを購入いただくと、「mahora(まほら)」ノート2冊を発達障がいのある方々を支援する施設に寄付することができます。
    発達障がいのある方々のことをもっと知っていただくことはできないか。また、多くの方が発達障がいのある方々のために何かできないかと感じておられるので、そんな方の気持ちに応えることができないか。当事者だけでなく、誰もが課題解決に取り組めるような仕組みをつくろうと考えられています。

    一方で、新たなブランド「MAARU(まーる)」も構想中です。「MAARU(まーる)」の第1弾として、米粉を原料の一部に用いた紙でつくったノートを試作されています。米粉は備蓄米から作られたもの。災害などに備えて保管されている備蓄米は、期間が過ぎれば廃棄されてしまいます。それを再利用して、ノート用紙に活用しようという試みです。「MAARU(まーる)」には、資源を循環させていくという意味が込められています。環境への負荷を少しでも軽減できる、そんな“ノートの生産と消費のカタチ”をつくる挑戦が始まっています。

    「『mahora(まほら)』を通して、お客様がより身近になり、お客様の声が直接返ってくるようになりました。それをきっかけに、お客様の悩みや困りごと、さらには社会の課題により敏感になり、その課題を解決していくことこそがモノづくりに携わる私たちの使命だとあらためて感じることができました」と大栗康英さん。

    その使命は、新しい企業理念にも掲げられています。
    「いいモノつくるやん!」と言われる企業であり続けます!

    「いいモノとは、お客様に買っていただくことがゴールではなく、『喜んで使い続けていただけるモノ』です。そのために、お客様に寄り添ったモノでなければなりませんし、持続可能なものでなければなりません。わたしたちは、今後も『いいモノ』をつくり続けていくことで社会に貢献していきたいです」と大栗佑介さん。大栗紙工がめざす「いいモノ」には、SDGsが重視する社会と環境、経済のすべてに対してプラスであり、誰に対してもやさしくありたいという想いが込められています。

  • VOICE

    VOICE

    SDGsとは「やさしい」を考えること。
    身近なところから始めてみてください

    SDGsとは、「やさしい」ものって何だろうかと考えることではないかと思っています。ユーザーにとってやさしいものって何だろう?地球環境にとってやさしいものとは?自分たちがやさしくなるにはどうしたらいいのだろう?など、まずはお客様の悩みや自分のたちの声に耳を傾け、思いやることが自然とSDGsにつながっていくと思います。あまり難しく考えず、身近にある「やさしさ」を考えることから始めてみてはいかがでしょうか。

  • 大栗紙工株式会社
  • 企業概要

    会社名 大栗紙工株式会社
    事業内容 昭和5年の創業以来、ノートを中心に高品質の紙製品を製造・販売。お客様と社会のために、いいモノを通して豊かな暮らしの実現に貢献する。
    所在地 〒544-0004 大阪府大阪市生野区巽北3丁目15番7号
    電話番号 06-6752-0856
    FAX番号 06-6754-1862
    ホームページ http://og-shiko.co.jp/