株式会社Bond |SDGs Each Together|SDGsへの取り組みを“個々から互いのものに”できたらいいな!をコンセプトに、SDGsを経営に活かす企業を支援するものです。

これが我が社のSDGs

お知らせ
 

ロスゼロの循環システムをフラワー業界に築いていく

株式会社Bond

2021年12月1日

株式会社Bond
私たちの日常や記念日に彩りを与えてくるお花。その多くの命は短く、店頭に並ぶ期間は1週間ぐらいと言われています。購入されなかったお花はカットされ、生ごみとして廃棄されます。フラワー業界では、当たり前のこと。このロスに疑問を感じ、業界の常識を変えるようなプロジェクトに取り組んでいるのが、Bondです。
Bondでは、フラワーショップでの店頭販売に加え、店舗やイベントのディスプレイ、ウエディングなど、幅広いフラワー事業を手掛けています。同業他社にはない“クリエイティビティ”が特徴であり、店舗デザイナーをはじめグラフィックデザイナー、アーティスト、さらにはハイブランドからの依頼も多く、同社のフラワーデザインには視覚的な魅力はもちろん、心を動かす力があります。
そこには、お花一つひとつの命を大切に、その魅力を最大限に引き出そうとする精神があります。しかし、購入されなかったり、役目を終えて枯れてしまうお花はどうしても発生してしまいます。同社では1ヵ月で約8トン、1年間では約100トンのお花が廃棄されていました。廃棄には、輸送と焼却によってCO2排出がともない、地球環境への負荷となります。
これを「仕方がない」と終わらせるのでなく、この動きを止め、変えようと、Bond が取り組んでいるひとつが農園の運営です。2021年5月、和歌山にフラワーショップとカフェを併設した新店舗をオープン。それと並行して近隣である大阪府泉南郡岬町に、お花を再生させる、また廃棄されるお花を肥料に変えるための農園の運営をスタートさせました。
具体的には、大阪や和歌山の店舗で廃棄されていたお花や、毎日カフェで捨てられるコーヒー豆カスをこの農園に運びこみ、同社スタッフによる地道な管理のもと、畑や地域公園で再利用できるような肥料に生まれ変わらせようと試みています。また、この農園には温室もあり、枯れそうになっている観葉植物をそこで再生させ、再び店舗で販売しようとする取り組みも始まっています。めざすは、ロスゼロ。フラワーを販売する側であった同社が、これまで注目することが少なかった生産側にあえて自ら飛び込むことで、ロスを生まない課題解決の糸口を見つけ、チャレンジングな事業を始動させました。
  • 住み続けられるまちづくりを
  • つくる責任 つかう責任
  • 気候変動に具体的な対策を
  • パートナーシップで目標を達成しよう
  • お花の命を、<br>次の命を生むために使いたい

    お花の命を、
    次の命を生むために使いたい

    Bond代表の宮川さんは、フラワーのロスについてずっと気になっていたと言います。「ロスになってしまうお花は、誰の目にも留まらず、死んでしまいます。それは、ものすごく悲しいことです。お花も、人間と同じ生き物であり、寿命があります。畑で切られ、ただ店頭に並べられて、命を終えてしまうことは、私たちがもっとも避けたいことです。お花の命を預かることを生業としているのですから、ロスをどうにかできないかと頭を巡らせていました」。

    そんな中、転機になったのが、生産現場に目を向けたことでした。
    「お花を栽培されている生産現場に赴くと、規格外のものが廃棄されている場面をよく見ていました」という宮川さんに、そうした光景をただ見ているだけではなく、自分たちも生産に関わることで何かが分かるのでないかという気持ちが生まれました。

    この経験が、消費と生産を切り離して考えていた宮川さんに新たな気づきを与えます。それは、生産から流通、販売、消費が一方通行で完結するのではなく、そのすべてが循環しているという気づきです。
    ロスされるお花は、そこで役目を終えるのではなく、生産の現場で生かされ、新たな命を生み出すために使うことができる、そんな流れがクリアに浮かび上がりました。いわば、廃棄するのではなく巡らせていく。それが肥料というカタチで具現化していきました。

  • “循環”という発想から生まれた、<br>新たなチャレンジ

    “循環”という発想から生まれた、
    新たなチャレンジ

    循環という発想から、別のプロジェクトも生まれていきます。同社はお香メーカーとも取引があります。そのメーカーではお香を抽出される際に生まれる蒸留水を廃棄していたのですが、それをBondで引き取り、カフェのドリンクメニューに活用しようと試みています。お香の原料が無農薬であるので、飲んでも問題がありません。季節ごとにお香の原料が変わるため、さまざまなフレーバーウォーターを楽しむことができ、これまでにないドリンクメニューが生まれる期待感があります。
    また、お香の原料のひとつである山椒は連作ができません。毎年、旬が過ぎた山椒の根を廃棄せざるを得なかったのですが、それを乾燥させ粉砕し、レンガにするという試作も始まっています。
    生産現場で生まれるロスを、今度は消費の場面へ巡らしていく。“循環”という発想が、次々と新たな挑戦を生み出しています。

社会・環境・ビジネスへの影響

■ムダな廃棄をなくすことで、廃棄にともなうCO2排出を削減
■フラワー業界に、循環型経済という考え方を浸透させる
■フラワーショップ&カフェが、地域の環境づくりの拠点に

社会・環境・ビジネスへの影響

Bondの取り組みは始動したばかりです。その成果はこれからカタチとして表れてくる予定ですが、フラワー事業だけにとどまらない成果も期待されています。

フラワー事業のロスを肥料に生まれ変わらせる農園では、和歌山の店舗の周辺地域から排出される生ごみなども回収し、一緒に肥料に変えようとする試みも計画中です。フラワーショップやカフェを消費の場面に限定するのではなく、モノが循環していくシステムの中で考えたとき、どんな役割があるのか。そこから視野を広げたとき、地域のごみを循環させるステーションとして活用できるではと考えられました。また、出来上がった肥料は、地域の公園で活用するなど、地域のなかで巡らしていこうとも考えられています。
つまり、Bondのプロジェクトは、地域の環境づくりにも成果をもたらす大きな可能性を持っているわけです。地域住民の方々がこのプロジェクトに参加することで、循環型経済やSDGsへの意識を高め、さらなるパートナーシップを築いていくことも期待できます。
SDGsの目標は、ひとつが独立したものではなく、すべてが影響し合い、関係しています。ある目標への取り組みが新たなパートナーシップを生み、別の目標達成へのうねりとつくっていく。BondのプロジェクトはそんなSDGsの肝を具現化するものであり、本業でのロスをなくす取り組みが地域の課題解決にもつながっていくことが期待できます。

  • フラワー業界すべてが取り組める仕組みをつくり、業界全体のロスをなくす

    フラワー業界すべてが取り組める仕組みをつくり、業界全体のロスをなくす

    Bondがめざすロスゼロは1社だけの目標ではありません。同社がかなえたい世界は、フラワー業界全体で生まれるロスを無くすこと。
    「そのためにも現在のプロジェクトをより具体的なカタチに仕上げ、成果をつくっていくことが重要です。プロジェクトが収益化するようなシステムをつくっていくことも必要だと考えています。同業他社も取り組んでみたいと思っていただけるようなものをつくり上げることで、フラワー業界の流れを変えたいです」と宮川さん。

    さらに、生産者とのパートナーシップを強化することで、新たな循環システムは続々と生まれてくる可能性があります。それを率先して構築していくことも目標だと言います。
    たとえば、「生産の現場では規格外のものは廃棄されます。しかし、そうした規格外のお花にこそ、クリエイティビティを特徴とする弊社では価値があり、好んで仕入れたいものです。規格外のお花の良さを知っている私たちだからこそ、生産現場での規格外ロスの削減に取り組んでいきたいと考えています。具体的には、曲がっているもの、形がおかしいものなど、そうしたお花をBondが間に入ることで生産者が消費者に直販できる仕組みをつくろうとしています」。

    まだ企画段階で、課題の検証が行われているところですが、これが実現すれば生産現場でのロス削減が飛躍的に進むに違いありません。また、フラワー生産者に新たな収益源をもたらすこともできます。今、お花の単価が下がり続け、多くの生産者が苦境に立たされているなか、Bondが構想するプロジェクトは生産者にとっても大きなメリットがあります。Bondの新たな挑戦は、日本のフラワー事業を持続可能なものにしていく壮大なプロジェクトの始まりだといっても過言ではありません。

  • VOICE

    VOICE

    身近なところにこそ、持続可能な社会を
    つくるための出発点がある

     

    私たちの取り組みのきっかけは、日常の中で感じていた疑問や課題でした。それをいかに解決していけばいいのか、試行錯誤していったものが、SDGsの考えと共鳴するものとして成り立っていきました。身近なこと、日常のなかにこそ持続可能な社会をめざす原点があると思います。それを見極め、ひとつひとつ進んでいくことが重要です。まず自分の周りの疑問や課題にしっかりと目を向けてみてください。

  • 株式会社Bond
  • 企業概要

    会社名 株式会社Bond
    事業内容 お花を通して大切な人との時をつなぐフラワー事業、文化を次世代につなぐ保育事業を根幹に、社会や人とのつながりを築いていく。
    所在地 大阪市中央区北浜 2-1-23 日本文化会館ビル(本社)
    電話番号 06-6228-3887
    FAX番号
    ホームページ https://bond-botanical.jp/